中央北地区会が例会「先達に聴く」を開催
2017.05.17(水)

札幌支部中央北地区会は3月16日、3月例会「先達に聴く」を開催し、清水勧業取締役会長の土屋洋二氏が講演しました。以下、講演要旨。
■同友会との関わり
当社は先代が1971年に同友会に入会していましたが、私が同友会と関わるきっかけになったのは、81年に第2期同友会大学を卒業したことです。そこから様々な活動に参加し、同友会理念を理解していきました。特に同友会が設立された当時の時代背景を知り「三つの目的」がより理解できるようになりました。
中でも「良い経営者になろう」という目的はとても同友会らしいと思います。これは「良い会社」を作るには、社長自身が謙虚に学び、総合的な能力を身に付けることが求められているというものです。こうした目的を掲げている経営者団体は他にはないのです。
■人材を資源とする
社長に就任してから私は随分失敗しました。資本金より大きな額の不渡りを受けたり、売れると見込んだ商品の売れ行きが悪く、不良在庫で倉庫が山のようになったこともありました。今考えてもよく持ちこたえたと思います。このような困難な場面でいつも感じたことがあります。それは社員のありがたみです。
苦しい経営状況に陥ったことを社員に率直に打ち明けた年は、年度計画を達成することができたのです。財務諸表上、社員は人件費というコストとしてしか出てきませんが、人は資産なのであり、バランスシート(貸借対照表)に含み資産として計上されるべきだと私は思うのです。
そして、会社や社長の信用とは資産の規模ではなく、豊かな人間関係や経営者自身の人間力が最大の経営資源になるものと思っています。
■会社は誰のものか
アメリカでは、会社は株主のものであると答える人が大半でしょう。しかし、私はそうは思いません。日本では会社を法人と呼び、法の下では人なのです。これは、会社が社会的な存在であるということを意味しています。企業の科学性、社会性、人間性を意識しながら経営していくことがとても大切だと同友会で学びました。
■ゆくりなくも
皆さんは“セレンディピティ”という言葉を聞いたことがありますか?この言葉は、イギリスの小説家ホレス・ウォルポールが生み出した造語で、セレンディップという国の3人の王様が世界を旅する話にちなんだものです。例え人生につまずいたとしても、誠実に生きていれば思わぬ所で救われるのです。日本語では“ゆくりなくも”が近い意味かもしれません。大変な時こそ、困難を克服した姿を想像する力が求められているのです。
【プロフィール】
1943年生まれ。東京の電機メーカーを経て81年、電材卸売業の清水勧業に入社。89年に社長、2009年から現職。04―08年度に札幌支部長を務めた。
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