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同友会大学が公開講座 愛知同友会 加藤明彦氏が講演

2017.07.21(金)

第65期同友会大学公開講座が6月22日、札幌市内のホテルノースシティで開催されました。愛知同友会の加藤明彦会長(エイベックス会長)が「激変の時代を乗り越える同友会型企業~社員の成長が、会社発展の鍵~」と題して講演。社員が成長する企業風土がどのように形作られたか、その軌跡をたどりました。(以下、講演要旨)


■同友会との出会い

当社は自動車の油圧制御用バルブを1日40万本、年間1億本生産しています。誤差の許容範囲はプラスマイナス2ミクロン。高精度の精密研削・切削加工を得意とする会社です。私は2代目の経営者です。同友会に入る45歳まで社員との信頼関係が築けず苦しんでいました。飲みニケーションもやりましたが、飲んでいる時は社員と打ち解けたと思っても月曜の朝になると元通り。会社に行くのが嫌な時代もありました。

変わらなければと考えていたタイミングで同友会を知り、同友会が言っていることと逆のことをやっていたことに気付きました。それまで、自分が一番分かっていて社員は分かっていない、会社のことを一番心配しているのは自分で、社員に相談しても仕方がないと思っていました。

■リーマンショックを機に社員中心の会社へ

同友会での勉強を通じ、経営姿勢もずいぶん変わってきましたが、経営者として試されたのは2008年のリーマンショックです。翌年2月の売り上げは7割減まで落ちましたが、私は絶対に雇用を守ると覚悟を決めました。銀行に日参しましたが、なかなか理解してもらえず、融資にこぎ着けるのに大変苦労しました。

私は資金調達に精いっぱいだったので、社内のことは社員にお願いしました。それまでは現場を回り、一生懸命に指示を出していましたが、その余裕がありません。そうすると後から分かったのですが、対立ばかりしていた営業と生産技術部門がコラボレーションし、遠くは東北、九州まで営業に回ってくれていたのです。

リーマンショックがあった08年は、売り上げが前年の26億円から16億円まで減少しましたが、わずか3年後には過去最高の32億円を積み上げました。以降増収増益を続け、今期の売り上げは60億円の見通しです。これは本当に社員の力。私から指示することはなく、社員が自分で考えてやっています。社員を育てるのではなく、育つ環境をどのように作っていくかが経営者の責任と役割だと身をもって学びました。

■会社発展の原動力

今いる社員は年を取り、必ずいなくなります。だから毎年採用と育成が必要なのです。自分が学んだら後輩に教える。教えることで人は育ちます。そして経営指針を浸透させていくことは最大の「共育」なのだと思います。やるべきことが明確になると社員にやらされ感がなくなり、自ら行動するようになりました。

社員は単なる労働力ではなく、同じ時代を一緒に生きていくパートナーです。一度しかない人生で自らの潜在能力を発揮し、やりがいや誇りを実感できる風土づくりこそ経営者の責任です。会社の発展は社員の成長とイコールなのだと思うのです。


(中小企業家しんぶん 2017年7月15日号より転載)

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