2022障がい者雇用を通して企業づくりを考えるフォーラム
2022.11.24(木)

テーマ:障がい者雇用で地域も人も元気に
~幸せの見える社会をめざして~
報告者:(有)グラン・ブルー
代表取締役 石井 雄一郎 氏
進行役:(株)ユーファースト 代表取締役 吉岡 俊史 氏
日 時:11月17日(木)13:30~16:00
会 場:デ・アウネさっぽろビル1階101またはZoom
参加者:125名

札幌支部インクルーシブ委員会が企画・運営(札幌市主催)する「2022障がい者雇用を通して企業づくりを考えるフォーラム」が11/17(木)に開催され、デ・アウネさっぽろビルを会場にZoom併用で125名が参加しました。今年で16回目を迎えるフォーラムのテーマは「障がい者雇用で地域も人も笑顔に~幸せの見える社会をめざして~」で、報告者に京都から(有)グラン・ブルーの石井雄一郎社長(京都同友会理事・ソーシャルインクルージョン委員会初代委員長)をお招きしました。
石井社長の実践報告では、まず自社の事業の紹介がありました。現在は観賞魚・活魚の水槽設計・施工・メンテナンスを行う(有)グラン・ブルーだけではなく、障がい者就労継続支援事業所(株)京のちからも運営しています。石井氏は1996年にグラン・ブルーを起業した後、2009年に京都同友会に入会。直ぐに障害者問題委員会に所属することになりました。障がい者雇用のきっかけは、その委員会で仲間から声をかけられたことでした。実習を受け入れて欲しいという打診に対して、最初は無理と断っていましたが、熱帯魚のメンテナンスを始めた理由は障がいのある子に喜んでもらいたいという思いがあったのも事実でした。
先ずはやってみようと、見学から始まり実習の受け入れ、トライアル雇用と段階を経て雇用に結びつけていきます。また、外部環境の変化に対応して、受け入れた仲間と一緒に長く働くために考えたのは「経営指針書」の作成でした。同友会に入会したその年に「人を生かす経営」実践道場に入門。経営者が抱える最も根源的な課題に応えるため、進むべき方向性を明確に示し、目指す事業の方向性を社員と共有しました。
その後、自身の生い立ちにも触れました。5歳のときに顔や右肩、胸、背中に大やけどを負います。最初のうちは、プールの時間などでクラスの友達に「怖い、移る」と逃げられ、辛い思いもしましたが、次第に友達も理解してくれるようになりました。そんな自身の生い立ちを振り返ったときに気づきます。「今の自分があるのは助けてくれた仲間のおかげである。誰もが笑顔で暮らせる地域社会を創造しよう!」と使命が見えた瞬間でした。

それから地域の障がいのある方100人と、地域の企業が手を携えて明るい京都を自分たちの手で作りたいという思いを込めて10年ビジョンを作成。スイーツ作りやキッズカフェなど、次々に新しい取り組みにチャレンジしていきます。
しかし、2011年に起きた東日本大震災で日本から観光客が消えてしまったことで、京都のお土産が売れなくなり厳しい経営状況に陥りました。そんなじり貧の中で今度は「アニメ」に目を向け、イベント企画やグッズ製作を開始。また、相次ぐ就労継続支援施設A型事業所の大型倒産を受け、当時運営していたA型事業所からB型事業所への転換を図り、職員・利用者・パートさんが互いに思いやり支え合える環境を整え、京都で一番の平均工賃の支払いを実現させます。
ところが、今度はコロナ禍により再び売り上げが激減。数々の制限を強いられる中、コロナ融資を生かして新たな仕事づくりを模索します。もっと京都の人に地元のことを知ってほしいという思いから、マイクロツーリズムを主軸にした企画提案や、京都産のいちごのブランディング事業などをスタートさせました。同時にコロナ禍で新たな課題が見えるようになってきました。なぜ、この活動を続けるのか。石井氏が障がいのある人と共に働いて感じたことは「働く幸せ」でした。そして幸せを追求するために、最適な職場環境をしっかりと整え、多様な個性・感性を最大限に引き出すため、一人一人の最適な働き方をしっかりと考えることでした。
最後に、まとめとして石井氏は「多様性を認め、支え合うことで事業の可能性が大きく広がる。また、経営者の考え方ひとつで個々のちからが地域のちからに進化し、深化する。ワクワクする未来を社員と一緒に創造し、誰もが自信を持って働きがいを感じることができる地域社会を創造しましょう!」と呼びかけ報告が終了しました。

休憩を挟んでトークセッションが行われました。今回は石井氏の実戦報告をさらに深掘りする内容で、コーディネーターはインクルーシブ委員会副委員長で(株)ユーファーストの吉岡社長が務めました。
石井氏の幼少期に体験したことから雇用に取り組むようになった背景、地域と共に歩む中小企業がなぜ障がい者の雇用に取り組まなければいけないのか等の質問をキャッチボール形式で、ざっくばらんに語りました。会場からは質問や感想なども出され、あらためて障がい者雇用に対する理解や、地域も人も笑顔になるためにどのようなことを取り組んでいけばよいかを考える機会になりました。