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~同友会景況調査2016年7-9月期~

景況感は改善を示すも、不安定感は拭えず
~同友会景況調査2016年7-9月期~

2016.11.15(火)

北海道同友会が実施している「同友会景況調査(DOR)」の2016年7月~9月期の結果が公表されました。

北海学園大学の大貝健二准教授のレポートの概要を掲載いたします。レポート全文はこちら


北海道中小企業家同友会2016年第3期(7~9月)の業況判断DI(前年同期比)は、マイナス9.2と、前回調査から4.0ポイントの「やや改善」となった。今期の景況感の改善は、建設業とサービス業での大幅な景況感の改善が、全体を底上げした結果となった(建設業:マイナス26.5→マイナス10.0、サービス業:マイナス6.7→3.3)。

今期の売上高、採算、業況水準等の指標をみると、全体では改善傾向を示してはいるが、いずれも水面下での弱い動きにとどまる。また、業種別、規模別にみれば、と悪化それぞれの指標が入り乱れており、景況感の改善が不安定なものであるとの印象がぬぐえない。さらに、次期見通しに関しては、業況判断において、今期大幅な改善を示した建設業とサービス業で悪化見通しとなっていることに加え、8月下旬に相次いだ台風の影響がどこまで現れてくるのか、次期の景況感の動向に注視が必要である。

今期調査の「経営上の問題点」では、「民間需要の停滞」の回答割合が最も高いが、景気後退局面で高くなる「同業者間の価格競争の激化」や「官公需要の停滞」の割合は低下している。他方で、「人件費の増加」、「従業員の不足」、「熟練技術者の確保難」、「下請業者の確保難」といった「人」に関連する項目の回答割合が軒並み上昇している。最低賃金の引上げが中小企業経営に対して影響を与えていることに加え、とにかく人の確保が困難である状況がうかがえる。人手不足が継続的に続く状況下でいかにして人材を確保するか、同友会運動として知恵を出し合いながら、困難を乗り越えていくことが求められているといえよう。

最後に、今期の自由記述を紹介しておく。「世代交代の推進と世代交代にともなう認識の一致を図り、若返りにともなうフォロー体制を充実させるべく検討している」(札幌・流通商業)、「台風の度重なる来襲。降雨日、雨量の増加等による工事条件、成果は良くない。今後少しずつでも回復していけるよう検討している」(釧路・建設業)

北海学園大学 准教授 大貝 健二


 

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